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昭和二十三年から始められた門鉄の観光ポスターコンクールは、二十六年から全日本観光連盟本部が主催するようになり、実際に使用された印刷ポスターを競うようになりました。 地方に住む私たちの商業デザインというふだんの仕事は、限られた地域に配布される印刷物が多い中で、観光ポスターは全国が舞台ですから魅力です。全国的に脚光を浴びる最高の土俵でもあるのです。私は観光ポスターに全力を傾注しました。 ところで、九州にはポスターの泣きどころがあります。というのは、北海道でしたら「北海道」という行政的にも一本に絞ったイメージが描けるわけで、当時、栗谷川健一氏の「北海道へ」という雄大な構図とポスターは、うらやましい限りでした。 それに比べ九州は、七県全部の観光目玉を同じ大きさで、一枚のポスターの中で表現しなければならないため、いつもゴチャゴチャした散漫なポスターになりがちなのです。 そこでデザイン制作上からも、観光客誘致の面からも「九州」を一本化して、順番に単一のモチーフを描き「太陽とみどりのくに九州」という共通スローガンで統一するように合意ができ、やっと力強い作品が生まれるようになりました。 おかげさまで私は、観光ポスターを手がけていたあの当時、九州をくまなく旅行し、素朴な風景や風俗、民芸、民踊、郷土料理、そして人情までも、今ではもう失われてしまったような本物に接することができて、本当によかったとつくづく思うています。 ![]() 九州を一本にまとめた写真の観光ポスター(昭和30年作) (1993年 画家 著書より) |