第四十五回

  

 テレビの対談というのは、「このたびはおめでとうございました」「あれはどうされたのですか」「たいへんだったでしょう」「これからは」というような順序で、お話が進められていきます。つまり「いつ」「どこで」「だれが」「何を」「どうした」というような新聞記事と同じ要領だと分かってきましたが、あんまりソツなくスムーズにいくのも面白くないものですね。やっぱり相手の話にのめり込んで、時々失敗したほうが視聴者の共感を呼ぶことが多いことに気付きました。

 博多人形師の小島与一先生はご高齢でもありましたし、生粋の博多弁です。

 「先生の人形の題材は、どげなとこから見つけ出さっしゃるとですか?」

 「アサ、サンポイイキヨルトキカラタイ」

 入れ歯が嫌いな方なので、口からヒューヒュー空気が漏れて、言葉が分かりません。

 「ほう!朝散歩される時から、今日制作される人形の題材をお考えになってあるわけですね」と通訳しながらの汗だくでした。とかなんとか、こう言うと私がいかにも名聞き役のようですが、癖のある私の話も視聴者は分からんじゃったかもしれまっせんね。

 森繁久弥さんが、自分のヨット「メイキッス号」で博多港に入港された時は、ご家族一緒での対談でしたが、ちょっと博多弁をまねてみたり、だれか一人でも口ごもったりすると、すかさずカバーして番組全体がうまくいくようにという気の使い方は、やっぱり超一流のタレントだと思いました。

 いちばん難しいのは野球選手とお相撲さん。「あのときの場外ホームランは見事でしたねえ」「ウーン」「今日の相手には、立ち上がりと同時に前ミツを取る作戦ですか」「サー」というふうに、あまり話をしてくれないのです。

 また、コマーシャルも素人の銀行マン、麻生藤登氏が汗ビッショリの出演でした。

 舞台装置や大道具、小道具は中島勉さんです。氏は東京の文学座で伊藤熹朔先生の下で勉強された方で、山小屋場面では本当のような火をたく装置、消防の望楼に上がる場面では雪が降り風が鳴るのです。私も「おう・・・寒いですねえ・・・毎晩ご苦労さんです」などと言わねばなりませんし、もう役者でしたね。


博多人形師名人、小島与一先生と

(1993年 画家 著書より)


  

 

   
  


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