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昭和三十五年六月から六十七回続いた「やあ今晩は」という番組は大成功でしたが、夜九時の時間が取れなくなって、今度は夕方六時五十五分から「ヤン坊マー坊の天気予報」と一日交代で「テレビ天気予報おじさん」に変わりました。 これはわずか一分半の番組で、最初の三十秒の瞬間に絵をかくという企画です。透明ガラスの裏側から、私がベレー帽をかぶって白い絵の具で子豚や象やライオンなどを ♪お花がいっぱい 預金もいっぱい・・・というテーマソングに合わせて描き、♪あした天気になあれ・・・と子供の声が入ったところで、さっと引っ込むのです。黒地に白の線でスラスラ描くと、いつの間にか動物の絵になっているという趣向で、わざと△や○や×印を先に描いて何ができるか分からんのを、チョイチョイと書き足して物体にしていくのです。 それがわずか三十秒仕上げ!途中で絵の具が流れたり、全体のテレビの枠からはみ出したり、描いている間に私の顔は汗ばみ、緊張で引きつってしまいます。それでは視聴者に受けませんので、電通の上野昭八さんが「声は出してもよいのですから、アッハッハと笑ってみますか」と言えば、カメラマンの桂城宣士郎さんが、すかさず「ほらほら、よか女性が見とらすバイ」とカメラを回しながら私の気持ちを柔らげ、やっと笑顔のおじさんの出来上がりです。 ![]() テレビ用フィルム撮影のスナップ これがRKBとKBCテレビで四年間ぐらい放映、延べ、千三百回も続いたのです。ちょうど夕食どきの時間帯なので、一家団らんの中で見られていて、いつもニコニコしながら、あんなに速く絵を描くおじさんは天才だ!と評判になり、一躍茶の間の人気者にされていまいました。 実はちょっとフィルムを早回しして、三十秒で絵が出来上がるという仕掛けですが、子供たちには、すごい魔法のおじさんに見えたことでしょう。 テレビ出演というものは面白いもので、出演して半月ぐらいはあまり反応がないのですが、一ヵ月ぐらい経過すると皆さんが知ってくださるようです。 ![]() (1993年 画家 著書より) |