第四十八回

  

 バルセロナオリンピックのメーン会場設計で、世界的な建築家として注目されている磯崎新さんが、昭和四十六年に落成した福岡シティ銀行(当時福岡相互銀行)本店の設計をされたとき、六階には、個性の強い画家たちがそれぞれ自由に装飾する四つの応接室を造ってもらおうと、これは四島頭取のアイデアでした。A室は当時東京芸大助教授の野見山暁治氏、B室は造形作家の斉藤義重氏、C室は磯崎新氏自身が担当され、私にも一室まかされました。

 私は貧乏性で、いくらなんでも私が勝手にすることは許されまい、できるだけ費用がかからないように、自分が表に立たないようにと配慮して絵を並べましたが、四島頭取から見ると「まったく西島さんらしくない」ということになり、部屋いっぱいに博多山笠を描いたらどうだという大胆なアイデアが出て、私は赤面しながらのやり替えです慌てて部屋の三面全体にオッショイオッショイの山かきの壁画を思い切ってかかせていただきました。

 そのちょっと前、磯崎新氏が大分支店の設計案を提出されたとき、あまりにもざん新で風変わりな設計に、社内の重役さんたちも二の足を踏んでいると「これに決めた!」と決断され、続いて本店の設計を依頼された四島頭取の先見の明。また、オンラインシステムをいち早く業務に導入されたことや、近くは「キャッツ」や「李香蘭」などのミュージカル福岡公演を率先して支援されるなど、地域の文化振興にもどんどん応援しておられるのには感服させられます。

 九十六歳の天寿をまっとうされた、お父さんの四島一二三会長が、毎朝一番電車で出勤されたり、直接お客様行脚されたり、生前には平尾霊園にユニークな格言のお墓を建てられたり、思いつかれたことは実行された性格が、そのまま現代風に生かされているとつくづく思いました。

 頭取とは、毎年の暮れに二人きりで話す時間を作ってもらっていますが、それがもう二十年続いています。わたしはその一年間の博多庶民の出来事、頭取は世界の動向やニューヨークの画廊のこと、そしてシルクロードの旅のお話などです。

 その長年の放談の中から生まれたのが、単行本にもなり、現在も続いております「博多に強くなろうシリーズ」です。毎回博識のゲストをお招きして、いろいろな話を伺っています。


銀行のロビーで壁画作成中の私(48歳)

(1993年 画家 著書より)


  

 

   
  


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