第六十一回

  

 福岡県の観光映画の中にどうしても博多山笠を入れたいのです。安いギャラで出演を引き受けていただいた伴淳さんに、博多山笠の法被姿で実際に出てもらおうと思ったのです。山笠を映画で全国に紹介するとなれば、法被の文字が「中洲」に統一されている中洲流れが、わかりやすく、親しみやすかろうと、中洲流れの川原俊夫取締に相談に行きました。

 博多の観光のために伴淳さんを「台上がり」にさせてくださいとお願いしましたら「あなたが言うとじゃけん、何でも引き受けてやるバッテン、山笠の台上がりだけは、どんな有名人でもでけん」と言われて赤面、「さすが博多山笠バイなあ」と感服したことでした。

 伴淳さんには山笠の伝統の厳しいしきたりなどをお話しして、「二人で“先走り”をしまっしょう」ということになりました。それから西鉄グランドホテルの部屋で伴さんに裸になってもらい、お付きの人と一緒に「締め込み」をしてあげていますと「パンツはいてはダミですか。おしりにもちょっと化粧スましょうか」と恥ずかしそうでしたが、なんとか説得してやっとこさ出てもらいました。

 中洲流れでは町内の人に事情を了解していただき「オーッ、シャンシャン」と景気良く博多手一本を入れて、さあ!伴淳さんと並んで「先走り」です。

 「オッショイ!オッショイ!」道の両側から勢い水がガバーッとかけられます。

 「いァやはァー、これは、たまんねェ!」と決勝点までズブぬれになって元気に走りました。


博多山笠に長男雅幸と孫と一緒に

(1993年 画家 著書より)


  

 

   
  


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